2025年2月28日 ~社会実装の推進に向けた探求~ HCD事例発表会 + 人間工学会アーゴデザイン部会 Future Experience(FX)フォーラム

掲載日:2025/03/02
開催日
2025/02/28
イベント
FXフォーラム
投稿者
吉井
撮影者

■日時:2025年2月28日(金)13時00分~17時50分 (受付開始:12時30分~)

■会場:株式会社島津製作所 本社 および オンライン(zoom)のハイブリッド開催

■主催:特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構(HCD-Net)
■共催:日本人間工学会アーゴデザイン部会
■協賛:Xデザイン学校

毎年冬の恒例となりました、アーゴデザイン部会 と HCD-Net関西支部とのコラボレーションイベントが開催されました。
尚、日本人間工学会アーゴデザイン部会の今年のテーマは「ビジョンの社会実装に向けた挑戦」です。

第一部:HCD事例発表会 – 業界をリードする企業から学ぶ
本年度の特集テーマは「BtoBにおけるHCD事例」です。
パナソニック株式会社、シスメックス株式会社、株式会社島津製作所からHCDのエキスパートたちが登壇!各社が直面した課題や、それを解決するための取り組みについて深く掘り下げました。
さらに、業界特有のアプローチや、プロジェクトの各段階での具体的な手法を実例とともにご紹介。成功事例の裏側を知ることで、皆様のプロジェクトにも応用できるノウハウが得られました。

第二部:Future Experience(FX)フォーラム
後半では、アーゴデザイン部会での先進的な取り組みについて紹介します。単なるビジョンづくりにとどまらず、社会実装への具体的な道筋についても掘り下げます。急速に変化する社会で、我々はどのように貢献できるのか――その可能性を参加者の皆さんと共に考えました。
このセッションは、「これからの社会をどう変えていくか」を本気で考える場として、HCDやUX、サービスデザインの専門家だけでなく、未来志向のアイデアに触れたいすべての方にご参加いただきたい内容となりました。

■プログラム:
12:30-13:00 受付
13:00-13:10 開会のごあいさつ(HCD-Net 副理事長 水本 徹氏)
13:10-15:20 HCD事例発表会

 発表①「血管撮影システム「Trinias」のコンソール開発および身体負荷計測による効果測定」
 市岡 聖菜氏(株式会社島津製作所) 


 発表②「操作ログに基づいた自社医療機器ユーザーの観察・インタビューから得られた知見」
 大淵 仁史氏(シスメックス株式会社)


 発表③「健康増進プラットフォーム「SUPOFULL(サポフル)」の開発と課題解決アプローチおよび効果測定」
 吉見 邦子氏(株式会社島津製作所)

 発表④「自動車関連機器メーカーにおけるBtoB向け新規SaaS事業創出とHCD」
 小林 広樹氏(パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社)

 
 発表⑤「感染症マネジメント支援システム「ExpertTWIN」の企画・開発におけるKJ法の活用」
 水本 徹氏(株式会社島津製作所)


 質疑応答

15:20-15:35 休憩

15:35-17:45 Future Experience(FX)フォーラム

 発表⑥「ビジョンの社会実装に向けた挑戦」
 郷 健太郎氏(山梨大学)


 発表⑦「巨大IPを利用した人を基軸とした造形アイデア創出支援についての一考察」
 細田 彰一氏(日本工業大学)


 発表⑧「ローカルデザインとシステムデザインによるビジョンの社会実装」
 徳田 彩氏(株式会社Muture/ Xデザイン学校)


 発表⑨「ビジョンを社会実装するための文化の活用」
 山﨑 和彦氏(株式会社Xデザイン研究所/ 武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所)


 質疑応答


17:45-17:50 閉会のごあいさつ
18:30~ 交流会(西院駅周辺)


■発表内容詳細

—– HCD-Net —–

発表①「血管撮影システム「Trinias」のコンソール開発および身体負荷計測による効果測定」
概要:血管撮影システムのコンソール開発の活動経緯を紹介するとともに、深度センサ等による動作解析を用いて新旧システム操作時の身体的負荷を比較した結果について紹介する。
市岡 聖菜氏(株式会社島津製作所)


発表②「操作ログに基づいた自社医療機器ユーザーの観察・インタビューから得られた知見」
概要:シスメックスでは、病院で採血された血液を測定する医療機器を人間中心設計のアプローチで開発してきました。特にユーザー分析の過程では、病院を訪問し、検査室での立ち合いを行った後、1時間程度のインタビューを実施してきました。
今回、ユーザー分析をさらに向上させるために、自社製品ユーザーの操作ログを事前に取得・分析し、その後に検査室の立ち合いとインタビューを実施しました。この取り組みにより、以下の3つの効果を得ることができました。
1)限られた立ち合いやインタビュー時間では見つけられない運用についてユーザーと議論できる。
2)ユーザー自身も気づいていない運用フローに気づくことができる。
3)経験の少ないプロジェクトメンバーでもユーザーを理解し、立ち合いやインタビューを行うことができる。
本発表では、具体的な取り組み内容や得られた効果について報告し、議論を行いたいと考えています。
大淵 仁史氏(シスメックス株式会社)


発表③「健康増進プラットフォーム「SUPOFULL(サポフル)」の開発と課題解決アプローチおよび効果測定」
概要:本システムは、デイサービス施設との実証実験を通じて社会実装に向けて開発された。開発の経緯と実証実験の効果をステークホルダーとの協働のもと、定量的・定性的に測定した事例を紹介する。
吉見 邦子氏(株式会社島津製作所)


発表④「自動車関連機器メーカーにおけるBtoB向け新規SaaS事業創出とHCD」
概要:パナソニックグループの中でも自動車部品/車載機器に特化し、その殆どが車メーカー様向けビジネスをしている車載機器メーカーが、2022年より両利きの経営を目指し次のコア事業を創出すべく、SaaS型のモビリティサービスを提供することを目指し始めました。そこから現在に至るまで、新規SaaS型モビリティサービスをローンチ・企業導入するまでに、HCDのプロセスを活用してどのように実践してきたのかを事例含めて紹介します。
小林 広樹氏(パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社)


発表⑤「感染症マネジメント支援システム「ExpertTWIN」の企画・開発におけるKJ法の活用」
概要:新規事業開発を進めるにあたって、企画・開発の上流段階で医師へのインタビュー調査を実施し、その結果をKJ法を用いてまとめることで、サービスのコンセプトの明確化やアイデアの創出を行った。本発表では、KJ法の実施の流れを説明するとともに、メリット・デメリットを紹介する。また、本テーマ以外でのKJ法の活用パターンを紹介する。
水本 徹氏(株式会社島津製作所)


—– FXフォーラム —–

発表⑥「ビジョンの社会実装に向けた挑戦」
概要:日本人間工学会アーゴデザイン部会の直近の課題は、ビジョンを社会に実装するための第一歩をどのように踏み出すか、またその実現をどのように促進するかという点にあります。本講演では、この課題に対する取り組みについて、これまでの部会活動を振り返りながら共有します。
郷 健太郎氏(山梨大学)


発表⑦「巨大IPを利用した人を基軸とした造形アイデア創出支援についての一考察」
概要:近年、エンターテイメント業界において、長期間継続し多くの作品群を内包するシリーズ(巨大IP)が増加しています。それらが内包するキャラクターなどのビジュアルと、そのファンの結びつきを利用し、世代や趣味嗜好に合わせたスタイリングデザインの支援ができる可能性について考察します。
細田 彰一氏(日本工業大学)


発表⑧「ローカルデザインとシステムデザインによるビジョンの社会実装
概要:地域活性化や課題解決に向けたプロジェクトは多く行われていますが、それを持続可能な形で地域に根付かせることは難しい課題です。本発表では、蒜山をフィールドとした実践事例を通じて、地域資源を再価値化し、地域主体のプロジェクトを自走する仕組みを構築する「ローカルデザイン」と、外部資本や多層的なアジェンダを共創しながら広域展開を目指す「システムデザイン」の視点を提案します。
徳田 彩氏(株式会社Muture/ Xデザイン学校)


発表⑨「ビジョンを社会実装するための文化の活用」
概要:ビジョンを社会実装するには、サービスや製品だけでなく、それを支える文化を考慮する必要があります。文化には社会の文化、地域の文化や組織の文化などがありますが、ここでは、ありたい組織文化にするための4つのアプローチと事例を紹介します。
山﨑 和彦氏(株式会社Xデザイン研究所/ 武蔵野美術大学ソーシャルクリエイティブ研究所)